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  • 2016.10.30 Sunday
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前原御茶屋と老松神社の関係について

前原宿の成立について、『筑前国続風土記付録』に「貞享年中舞嶽山の麓より民家を此処に移され宿駅となる。行館をも構へ給へり。慶長の頃迄は、人家はなくて今の宿の西の入口松原ある所にて傳馬せしとそ」と記される。この文中に出てくる「行館」とは、福岡藩内の主要な宿場に設けられた藩営の藩主別邸のことで、御茶屋と呼ばれ藩主が領内巡見の際に利用したり大名が参勤交代時の本陣として利用した施設であった。

前原宿の町茶屋守であった津田家の文書によると、前原御茶屋は、宿場成立年といわれる貞享二(1685)年に建てられ、天保十五(1844)年に焼失したと記される。そもそも前原に御茶屋が設けられるようになったきっかけは、元和九(1623)年に黒田長政の息子である黒田政冬が、怡土郡井原に居住したのがきっかけであると考えられる。政冬は、怡土・志摩二郡内の内1万石を与えられて井原村に居住したが、寛永二(1625)3月に疱瘡によって死去したため、政冬が居住していた屋敷は無用となり、ちょうどその頃、参勤交代制度によって整いつつあった街道筋に移されて藩主の御茶屋となったようである。『筑前国続風土記』には、「この村(井原村)に邦君の別館有り、その後、別館を前原驛に移して之建てるとの云伝え也」と記されている。

福岡藩御用大工林家に伝わる藩内の御茶屋の建坪を記した文書によると、前原御茶屋の総建坪は約150坪程あったが、後に約120坪に減少したことが記され、「嘉永元年申秋御建物新図」とも記されることから、嘉永元(1848)年に建てなおされて約120坪の建物になったことが分かる。これらを併せて考えると、天保十五(1844)年に焼失した御茶屋が4年後の嘉永元(1848)年に建て直されたと推測できる。
前原宿はもともと戦国時代に舞嶽城という城があった舞嶽山(現在の笹山公園)の麓にあった前原村より強制的に民家を移動させてつくられた宿場町である。前原村には、産土神の老松天神社という神社があり、民家のほとんどが街道筋に移った後も神社はまだ旧村内にあったので、弘化元1844)年に社殿を改築して宿場内の宮本町に移したという。弘化元年といえば、天保十五年と同年の1844年である。この年には前に記したように御茶屋が焼失している。


前原宿内で御茶屋跡と伝えられるのは、宿場のほぼ中央で街道より道を引き込んだ北側にある。この場所はもともと前原村の庄屋埴生重蔵の土地であったが(年代はおそらく江戸後期であると思われるが)藩に差し上げたため、褒美を頂戴したという記録が残る。福岡市博物館には、寛文年間に作成された道程図という大里より長崎までの道中を描いた絵図が所蔵されており、藩主の宿泊する場所は「本陣」と記載され、それには御茶屋が充てられている。この絵図で気になるのは、本陣が街道の南側に記されている点である。前原御茶屋は街道より北側にあったと伝えられているのに、これには南側に記されているのである。

そこで、次ぎのような仮説を立ててみる。

前原宿ができた時、御茶屋は街道の南側に建てられた。この場所はかつて舞嶽城があったとされる笹山が望め、有事の際には舞嶽古城を利用することもできたと思われる。しかし、天保十五年に御茶屋が焼失してしまったため、再建しようと思ったが、その場所に建てるのではなく街道の北側にある庄屋重蔵の土地に新たに御茶屋を新築した。そして、これまで御茶屋のあった場所には、前原村が街道筋に移動してからもなお本村に鎮座している老松神社を移動させた。これはあくまでも仮説である。

その後、明治になって御茶屋は前原小学校に転用され、老松神社も明治43年に北筑軌道が開通するにあたって移動を余儀なくされたため、社殿は現在地に移動させられたのである。この老松神社の位置についても少し考えてみたい。老松神社はもともと前原本村にあったというが、現在のどの場所であったのか全く不明である。しかし、江戸時代に描かれた絵図には、宿場と本村と老松神社が描かれるが、神社は本村の東側の離れた場所に描かれている。その場所は位置的に考えて、現在老松神社が所在する場所であると思われる。よって、また仮説であるが老松神社は御茶屋が焼失して別の場所に建ったため、その跡地に移動したが、明治になって軌道のため移動を余儀なくされ、もとあった場所に戻されたのではないだろうか。

 

 


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